簡単な事を長々と書いてみる。

つくづく痛感するが、自分は言葉にしておかねば安心できぬ性分である。およそ理解しているもので言語化できないものはないし、言語化した事でそれ自身への理解を深めるというスタンスを長らく採ってきた。

それはつまり、自分の行為が偽善は偽善と断じる事ができたり、対人関係に優先順位をつける事ができるという僕の性格にも関係してくる。言語化、脳内を整理しておかねば気持ちが悪い。

意味のないもの、不定形なもの、実のないものに対してもその意欲は変わらない。意味がないという事自体がそのもの自体の意味であり、僕はそれを言語化しようとする。
感覚で物事を理解するバンドメンバー(それ自体に違和感は感じない。たまに意思の疎通に時間がかかるくらいだ)と議論していて、そんな自分の性分を再確認した。

人によっては几帳面、神経質となるのだろうなこの性格。だが恐らく、真に感覚でしか理解しえない事柄に対峙した際は恐らく僕は何の躊躇もなくそれに望むだろう。

自分の内的世界では言語でアウトプットできない事象、変換できない概念は存在し得ないのだ。僕がそれをそうと感じる物事に出会ったら恐らく僕は「これは言語では理解しえない」と感じるだろう。

その瞬間に理屈屋は感覚派になる事で自らにオチをつけるのである。

理性的な人間は理性で全てを解決できない事を理解しているが故に、感情的になる時は何の躊躇もなく感情的になるのと同じ仕組みである。
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僕のベースを紹介します

SBV
そんな韓流映画のようなタイトルの今日の記事。


YAMAHA SBV-550
シリアルナンバー:HZ27104

大学3年の春、古本屋でたまたま買ったベースマガジン(愛読しています。インタビュー受けたいです)のバックナンバーにこのシリーズの特集が載っていた。「安くてもモノがいい」との事で岡野ハジメ氏がこのベースの魅力について語り倒していたり、開発者や愛用しているベーシストのインタビューが載っていたりファンからすれば涎モノの記事だった。

その時は何の感慨もなく、特に欲しいとも思わなかったこのベース。僕の人生を変えた出会いは翌日だった。何の気なしにバイト先の上司に「あのシリーズいいらしいですね」と話した所、何と数本入荷するとの事。買ってしまえと薦められはしたものの、ムスタングベースを愛用していた僕は気乗りしないままSBVの入荷を待つ事となった。
数日後、閉店後にヤマハから届いた段ボール箱。蓋を開けてみるとそれは目にも鮮やかなサーフグリーンのSBV-550。その色はポップさを醸し出し、いざ現物を目にしても僕は果たしてこの色が僕に似合うのだろうか、等とおよそ前向きでない感想を抱いた程であった。
とりあえずアンプにつないで音を出してみる。ふむ、悪くない。
数日後、サークルで新入生の顔見せライブのために組んだCoccoのコピーバンド、そこで初めて他の楽器と音を重ねた。

「音が太いなあ」「喉の辺りに低音がズンズンくるんですけど」

バンドメンバーだった先輩や後輩のリアクションがいつもと違う。自分のベースの音に対して周りがこんなリアクションをとるのは初めてだ。
何かが違う、と思った瞬間だった。

結局、それまで使っていたムスタングでは出せない音がこのベースでは出ると気づいた僕はこのベースに夢中になり、その時から今に至るまでほとんどの演奏をこのベースでこなしている。
ピックアップは同社製の海外産、フルカワミキモデルに搭載されているものに載せ換えられ、配線からペグ、ブリッジに至るまで全てが交換されたこのベースは非常に思い入れの強い一本だ。
やる気にさせられる音であり、癖になる音である。攻撃的で、有無を言わさぬ音。これとサンズアンプがあればとりあえず満足。

試行錯誤を繰り返しながらも僕を育ててくれたこのベース、まだまだ性能を引き出せていない。ずっと大切に使っていきたい一本である

22回公演終了。

第22回公演『死神の裁判』終了。
新栄クラブロックンロールのフロアを半分間借りし、お客さんにはフロアに座って頂いての観劇スタイル。我々はと言えば持ち時間30分のうち実に20分が芝居(劇中歌含む)の公演形式であった。
ステージには幕を張り、最後に幕が落下、そのまま演奏が始まるという演出を試みたのだが見事に実現させた山田康裕に賞賛を示したい。

そもそも根本的にバンドのライブを観に来ているお客さんにこのスタイルがすんなり受け入られるだろうかという危惧はあれど、音楽も人それぞれ好みがあるように表現自体にも好みがある。芝居も音楽も大多数の人の日常に馴染んでいるものだから、と考えればいらぬ心配だっただろう。

台詞の聞き取りづらさは否めなかったものの、楽しんで頂けたようで我々としても実に実りある経験が出来た、と思う。

歴然と素人芝居だけれども、やって良かったと思う。だが現在正直な所、結局僕は演奏がしたくて仕方がないのである。

サングラスが見つからない。

埃アレルギーである。
部屋が汚い癖に、僕は埃アレルギーなのである。目が痒くなるし、鼻も詰まる。頭がボーっとしてやる気がなくなる。倦怠感。埃アレルギー。

昨夜は特にしなければならない事がなかった。近頃の生活では稀有な瞬間。毎日が暇なよりも、忙しくしている生活の中でのこんな瞬間の方がどれだけ有難いか。
僕は自ら忙しくするようにしているきらいがある。予定が何もない日でも無理やりねじこんでみたり、或いは外出してしまったり。
何をしていいかわからない時間というのは耐えられない。故に用事をねじ込む。

しかし昨夜のあの瞬間、何も『しなければならない事』がない瞬間というのは効果絶大だった。
冷蔵庫を開けると、誰も飲みはしないはずなのに缶チューハイがあった。京極夏彦を読みながら呑んでみたら、呑み慣れないものを呑もうとするから呷る様に呑んでしまった。一気飲みに近い、味わいも間も楽しみもへったくれもない呑み方。
折角の京極夏彦も頭の中に入ってこない。

そうして友達にちょっと電話して、ごみのように散らかった部屋の中から探し物を見つけ出すため、僕は埃まみれになったのだった。しかもクローゼットの中まで調べたのに探し物は見つからなかった。
僕が得たものといえば、自分が埃アレルギーだという再認識くらいだった、結局。

備忘録。

バイトとバンド活動しかしていない今日みたいな日は、日記に書く事と言えば自然とバンド活動についてになる。
日記は本質的に筆者のため、備忘録という役割も兼ねていると思うので目を通した方が不愉快にならない程度に頭の中に残っている事を書いていく。

バンドの練習スタジオを2時間予約、専らアコースティックでの演奏を主目的とした楽器ばかり2、3持ち込んでスタジオ入り。いつもは借りるマイクも延長コードも一切借りず、悠々と借りたスタジオに入る。

バンドマンが5人もスタジオに入って、手始めに行ったのがアンプやドラムセットを部屋の隅に片付けるという事だったのが愉快だった。某美人女芸人風に言えば、音楽スタジオを音楽以外の用途で使う背徳感、とでもなるだろうか。

演技の練習ばかりしている最近だが、毎日のように同じ脚本で、同じ役柄を演じていて素人役者ながら感じた事がある。芝居も音楽と同じく、リズムとアンサンブルではないか。
台詞や動きの間、緩急、台詞の抑揚、そしてそれが作り出す空間に感情に流れ。これを音楽と言わずして何とする。つまり音楽は芝居であり芝居は音楽である、と断じるのは極論なのだろうけれども。

ひとしきり演じて、練習を始めた頃に恐らくはお互いに感じていたであろう違和感、解釈の違いが少しずつ少しずつすりあわされてきたのを感じた。お互いの感情や表現欲求を刺激し、邁進する演技の高みを目指したい。

そして今日もベースを弾きはしなかった。

弾かないという選択肢。

自らの楽器での表現方法に拘るが故に、拘らないというその姿勢。
自らの楽器での表現欲求、表現に拘りがあるが故に他の方法論にも興味と強い好奇心を感じるのは当然の流れだと感じる。

例えば今の僕が興味を持っているのはより良い歪んだベースの音と、ベース以外の楽器である。自分が曲中でベースを弾かない事により、どのような効果が生まれるか、という可能性を追求するのもバンドに所属するベーシストとしては追及していきたいところなのだ。

コーラス、合唱録音

合唱
レコーディング作業における録音作業もついに最終工程へと差し掛かった。
大人数での合唱、コーラスパート録音である。
集った人数は10名を超える音楽家達。
普段は歌わない人間も今日はその気概を曲に注入して欲しいという事で歌ってもらう。

録音は楽しく、遊び心と表現欲求の入り乱れた中終了した。録音された多数の素材の中からどれをどのように使うのか。
レコーディングはついに最終局面、ミックスそしてマスタリングへと入っていく。

雷を待つ男。

10f9540b.JPG不完全密室殺人、歌の録音だった。

山田康裕は一種の無敵状態に陥り、素晴らしいテイクを繰り返した。録音作業は極めて順調であった。
私は、あの歴史的瞬間を忘れられない。後々信じられないような出来事、自分の記憶を疑いたくなるような奇跡はふとした、何気ない瞬間に幕を開ける。
全ての曲が録り終わった時の事だ。

外から雷の音が、響いてきた。

「…雷、か」
「降ってきましたね」
「一度雷の音録ってみたかったんだよね」

まさか。

そのまさかだった。
マイクにビニール袋を被せて外に持ち出すレコーディング・エンジニア アツシ・ハセガワ。

マイクを屋外に設置するとRECボタンを押す。椅子に深々と座ると、彼は屹然とした表情でこう言い放った。
「意地でも雷の音を録ってやる」
モニタースピーカーからは雨粒が地に降り注ぐシトシトという音が流れている。今この瞬間の外の様子をマイクは鮮明に録音しているのだ。準備は整った。さながら大物を狙う漁師のように、獣を捉えて火薬を詰める猟師のような緊迫した表情の氏。

我々はと言うとアツシ・ハセガワ氏の好意に甘え、帰宅する事となった。
車に全員乗り込み、エンジンをかける。と、各務鉄平がエンジンをすぐさまきった。疑問符と静寂が支配する車内に、ある音が聴こえてくる。

…雷の音だ。

彼は勝ったのだ。
大自然の脅威、雷を録音したのである。

舟橋孝裕著「不完全密室殺人全記録」より

男の魅力。

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漂うダンディズム
香りたつ野生の匂い
そしてその濡れた眼差し
これが男達の美学

制作日記。

fed8bac9.JPG今日も今日とて日記を一つ。

不完全重役会議でありました。会議前に山田営業部長と自宅にてミニアルバムの再生産。ひたすらにブックレットを印刷、CD-Rにデータを書き込みシコシコと作業しました。近々ディスクユニオンで委託販売が開始される予定です。店舗での取り扱いは勿論、オンライン上で購入する事もできるようなので未購入の方は是非。

で、会議。脚本内容についてひたすら話しました。実に三時間近く激論を繰り広げ、どうにか今日からの動きの目処が立ちました。脚本段階でそこまで手間をかけていいのか、と思われるかもしれませんが、この段階で妥協すると絶対にいいものは作れません。それぞれが言いたい事を言って、それを踏まえて一つのものを作り上げる快感。今回は良い公演にならないわけがありません。

会議終了後は各務君と藤城さん宅へ。友人達が集まっているというので少し顔を出してきました。
今日こそは早く寝よう、と思っていたにも関わらず、結局こんな時間に。
今夜こそたっぷり眠るぞう!

完膚なきまでに素晴らしい日記を読んだ。

ここ最近、かつてはあれほど出てきた文章を書くという欲求が最近はとんと出てこない。惰性、ではないが習慣としてこうして日々を綴ってはいるけれども、書き付けたものを一旦距離をおいて眺めてしまうともう駄目だ。
それ以上何も書く気にならなくなる。推敲という作業自体馴染みがないのもそうだろうけれども、それよりもこの感覚は言いたい事が言えない言葉に窮するあの感じに酷似していると思う。

かつてはスラスラと自分の中から言葉が出てきたし、いくら単調な日々であろうとも僕の生活は文章に満ち溢れていた。両手をキーボードの上に置けば真実虚実全てひっくるめて『文章』として排出できたわけだし、それはもうスラスラスラスラとまるで流れ出るように文章を書けたものだ。
それが今やこの分量程度の文章を書くのにもひねり出す始末。
自分が数秒前まで何を書こうとしていたか考えないようにし、ひたすらに頭に浮かぶ言葉をタイピングしていく。その作業にしても排出機構のどこかに何かものでも詰まっているかのような感覚で非常に具合が悪い。

恐らく精神的に緩慢なのだろう。
かつての僕は確かに人間的にとてもじゃあないが誇れる人間ではなかった。
だがその分精神的な刺激はあったのだ。反骨精神や怒りは一個人として歓迎するものではないけれど、興奮状態に導いてくれるものとしては最高の燃料だったのだ。
最近は人の書いた文章に触れる時間もなく、精神活動が活発でもない。
僕は現実世界で疾走している。毎日をただただ疾走している。

少しずつ進路を転換、というか同時進行で精神活動も活発にできたら、とも思う。

制作開始。

不完全密室殺人 第22回公演『死神の裁判』制作開始しました。
脚本第一稿が仕上がって、今夜は夜の公園で読み合わせ+立ち回りの稽古をしてみます。
夜の公園で練習とかバンドじゃないみたい!

大道具とか今回は大掛かりな事になりそうなので関係者各位に連絡をとりながら作業を進めています。
今回の公演の模様を録画、編集してDVDにしようという発案もあるので楽しみにしていてください。

HOMEPARTY

e23d9acf.JPGJONNY企画「HOMEPARTY vol.5」に出演した。
主催者JONNYメンバーが本当に好きで我々を誘って下さったという事を肌で感じ、感動をおぼえた。

演奏の荒さは否めない。ただ今日はねじ伏せるというよりかは無心に楽しめたので前向きに反省できた。バンドとしてのまとまりを追求するのならば、現状ではまだまだだろう。納得した瞬間にバンドとして「行き着いてしまった」ならば、それはある種の到達地点であり、求心力こそが表現集団としての燃料ならばこの命題は果てなき課題でもあるのだが。

いずれにせよ今日は刺激的な一日だった。無心に楽しむという事はかくも得難い事か。JONNYのunclefuckerとPOPSTARは珠玉の名曲だ。キャッチーとは何たるかを打ち出していると感じる。

技巧的或いは前衛的な演奏表現はそれに見合うだけの演奏技術が必要とされる。だが世の中には往々にしてあるのだ、それらの要素を一切廃した、素のまま出した音楽が人の心を捉える事が。前述した二曲は単純とは言えないけども、シンプルにタイトな演奏(これ程難しい事もないかもしれない)であるが故に演奏者の個性や感情がダイレクトに感じられる。キング・クリムゾンを愛聴している際には得難いカタルシスを感じる。

小難しい理屈をこねるのはもうやめよう。それをしてまとめるには余りにも無邪気に楽しい一日だったのだから。

食についての雑感。

美食家、というわけではないのだが旨い食事を供する店については可能な限り知っておきたいと思う。

食事、それは日々の生活にとってなくてはならないものであり、最早栄養分の摂取という本質的な役割を超越した娯楽という側面すら有している、いわば一つの文化だろう。

ただただ食らえば良いはずの食事に様式があり作法があり、そして様々な食材や料理がある。そして旨い飯や名店の情報はインターネット上に溢れている。その情報を元に未知なる味を求めて奔走するわけなのだが、こう書くと傲慢なグルメ、味に五月蝿い美食家のようであるが僕という人間の実体はそんなに大したものでもない。
学生諸兄が食に向き合う際に考える事すなわち「安くて旨くて量が多い」。これが僕にとっての嗜好である。
ともかく、いくら舌が喜ぼうと日常的に口にできない価格帯の料理は「食事」たり得ないと感じている。

名古屋に限らずラーメン屋はそれこそ無数とある。様々な東海地方のラーメン食いの方々が様々なラーメン屋の様々なラーメンを食べ歩き、感想をまとめられた様々なブログは参考となる。そこに出入りしていなかったら知り得なかった店もあるだろう。だが彼らがこぞって絶賛する某店は、どうにも良さが理解できない。舌が馬鹿なわけではないはずだから(そう信じたい)恐らくグッとくるポイントが違うのだろう。

自分の好んで口にするラーメンの傾向を鑑みるに、個性の強いラーメン、よく言えば男気溢れる豪快なラーメンを好んで食べている事に気がついた。もとより出汁がどうのだとか調味料がどうの等気にもしないし、意識すらしない人間なので単純に一杯に求めているのがわかりやすいインパクトなのだろう。

なるほど、それならば理解できなくもない。ブロガー氏達が絶賛する店は繊細で、計算された、誠意と創意工夫に富んだ一杯であったのだ。だが僕はそれよりも野菜と麺の暴力のような、昆布だしに醤油を溶かしただけのような深夜営業の某店の味のインパクトに惹かれたのだ。

食事、よりかは飯、を好む人間なのかもしれない。最も、何かを食べるという行為自体が好きなので何を食べても喜びは感じるのだけれど。

レコーディングに於けるとりとめのない記録。

aa846e87.JPGギュイイイイイン!!
朗々たるエレクトリックギターの音がもうすぐスピーカー越しに聴こえてくるはずである。

2008年、5月。我々は今なおレコーディング作業に精神を集中させている。今なお、とは言ったものの、作業開始から二晩を過ごし、現実作業の進行状況は順調と言えるだろう。

筆者は現在コンソールルームにてこの記事を書いている(携帯電話での更新でも書く、と表現するのは極めて現代的であると言えよう)。
こうして悠々とレコーディング記録を書いていられるのも筆者の予定していた作業が終了したからで、力尽きた神田佑介はと言うと隣で深い深い眠りに落ちている。
レコーディングルームではこれよりギタリスト2人がギターを重ねる作業に入る所である。

夜はゆらゆらと過ぎていく。

ゴールデンウイーク

今日も今日とてレコーディングである。
今バイトを終え、寄り道せずに帰宅、山田君と一緒に我が母手製の麻婆飯を食べてミニアルバムの生産に勤しみ、夜中からレコーディング再開予定である。

黄金週間等都市伝説、中学生にもサラリーマンにも属さないアルバイト労働者には無縁のもの、と決め込んでいたけれど何だかんだで予定は沢山入っており、どうやら黄金週間を満喫できそうだ。明日は同窓会だし、明後日は家族で内海の方まで海の幸を堪能しに行く。
昼夜逆転気味な上、睡眠不足になりそうなハードスケジュールであるがバイタリティ続く限り全てを貪り尽くしたい。

バンド記録。

50ca0963.JPG1stミニアルバム「九条院家の崩壊」の再生産に追われております。もう少しでディスクユニオンの店頭に並ぶはずですので(通信販売もありますよ)お待ち下さい。

さて、ちょっとした調べものの折に、不完全ノート一冊目を引っ張り出してみました。バンド最初期から神田佑介加入期、そしてライブを重ねていた頃の我々の議事録であります。

曲のアレンジ云々、ライブのセットリスト、脚本アイディアやライブ反省会の記録等、様々な記録が残されています。現在二冊目を使っているので一冊目は久しく目にしていなかったのですが、改めて当時を思い返しながらノートに目を通すと何だか微笑ましいです。

専ら僕が記入していたので筆跡は僕なのですが、様々な記述の中に妙な落書きを見つけました。

「山田家崩壊」と記されたこのイラスト、全裸でエヘエヘ笑っている山田君らしき人物を各務君と思しき眼鏡青年が眺めているという意味不明なイラストです。

描いた当時の事を記憶していないので、このイラストをどういった経緯で描いたかどうにも心当たりがありません。

アーサー・コナン・ドイル『チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン』

シャーロキアン、と呼ばれる人々がいる。
サー・アーサー・コナン・ドイルが著した「シャーロック・ホームズ」シリーズをこよなく愛し、愛読し崇拝し、研究する人々の総称である。

シャーロキアンとまではいかないが、僕はこのシャーロック・ホームズシリーズが大好きで昔から繰り返し繰り返し何度も読んでいる。記憶に残っている中で最初に衝撃を受けたのは「赤毛連盟」(訳者によっては「赤髪連盟」或いは「赤毛同盟」とも)であり、僕はこの奇想天外な物語に夢中になった。や、ひょっとしたら「まだらの紐」だったか。
いずれにせよ思春期前のこの読書経験は、その後の読書に対する燃料になったのは疑いようがない。

中学校の図書館にはポプラ社刊、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズと並んでシャーロック・ホームズシリーズが並んでいたし、自宅では兄が読んでいた本の中にこれらの短編集が紛れ込んでいた。少年期の一時代、頭の中だけでもベーカー街に繰り出すのは大いに刺激的な経験だったに違いがない。

そんな繰り返し繰り返し愛でてきたシャーロック・ホームズシリーズだが、印象深い一編がある。今回ご紹介する「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」がそれである。

この「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」は、ホームズと恐喝王の戦い、その顛末を描いた作品で、別段ホームズはその灰色の頭脳を駆使させたりしていない。本作中でホームズがしているのは、依頼主の代理人として恐喝王に対峙し、恐喝のネタを取り返さんと苦闘するという非常に『探偵らしい』事だけなのである。

そこには「数ある可能性の中から否定できるものを削除し、最後に残ったものが最も有り得なさそうなものでもそれが真実である」と嘯いたり、靴についた泥から依頼主がロンドンのどこからやって来たか当ててみたり、コカインに耽溺する名探偵の姿は印象づけられていない。本作に於けるシャーロック・ホームズは極めて現実的な探偵である(尤も、お得意の変装の腕前は披露してくれるわけなのだが)。

では本作品で最も印象深いのは何なのかというとそれは表題にもなっている「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」である。
ミルヴァートン立ち姿
名探偵をして「最も残酷な殺人犯より、嫌らしい気持ちにさせられる」といわしめ、物語の決着も知性という正義でつける事を許さなかったその恐喝王こそが本作の魅力であり、恐喝王の陰湿さとホームズとのやりとり、恐喝王に対峙するホームズのなりふり構わぬ正義こそが本作を印象深いものにしている。

このミルヴァートン、貴族や名士のいわゆるスキャンダラスな書簡を小間使いや召使いから買い取って、絶妙なタイミングでそれを公開すると恐喝してくる。恐喝に屈しなかった結果、人生をめちゃくちゃにされ結果死に至った者までいるという事で恐れられている美術商なのである。
愛嬌のある顔に貼りついたような微笑で、この恐喝王はホームズに対峙する。

依頼人にとって不利益を被る手紙を、適正な価格でこちらに渡すよう交渉するホームズ。ベーカー街B21bの部屋までやって来た恐喝王は物腰柔らかながらも、頑としてビタ一文まけはしない。
ミルヴァートン
最終的に強行手段(「そいつを部屋から出すなワトスン!」)に出たホームズに対し、恐喝王はこう言うのである。

「ホームズさん!ホームズさん!…もっと独創的な方法でこられると思っていましたのに!…人並みですなあ!」

このシーンでは、ホームズはミルヴァートンに明らかに負けているのである。そしてそれは物語終盤まで続き、結局探偵は知性で恐喝王を下す事ができないまま事件は『解決して』しまう。

名探偵に負けを味あわせてでも作者が描き出したかったキャラクターの魅力。何であれば、本作の一番の魅力は、どこかユーモラスなそれであるが故に陰湿な、そんな恐喝王のキャラクター造形にあるのかもしれない。

自己紹介

舟橋孝裕

Author:舟橋孝裕
愛知県在住、ベースギター奏者です。
・JONNY
・パイプカツトマミヰズ
・犬栓耳畜生
・白線の内側
 やサポートでベースを弾きます。

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