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自分と音楽との関係。

その昔、音楽を自分より長くやっていた人から「お前も自分で歌を書いて自分で歌ってみてはどうか。お前の言う自己表現はそういう事ではないのか」と言われた。
その言葉はその人なりに僕の表現欲求を慮っての事だったのだろうと思うけれども、一瞬考えて答えはすぐに出た。
「そういう事ではない」

僕にとって自己表現とは歌詞を書いてメロディを考えて歌う事ではなかったし、時として曲を作る事と直結するものでもなかった。自分の中から出てくる「やりたい」をそのままやる事が自分にとっての表現で、作品という形に残す事は二の次で衝動そのままに手を動かす事が嘘偽りのない表現。強いて何かを作品とするのであれば自分自身の活動それ自体を作品としたい、と今思えば相当に思い上がった事さえ考えていたものだ。
けれども未だに歌詞を書いてメロディをつけて歌を歌う、という発想は自分の中に微塵も存在せず、もうこればっかりは本当にその気がないのだろう。

「曲を作る事なんてないんだろうなあ」と漠然と考えてはいたのだが、それから数年後に僕は作曲行為に手を染める事になる。
歌詞を書いてメロディを作って、というそれとはちょっと違ったけれど。

有難い事に即興演奏であったりアンビエントやドローンの『ような』具体的に抽象的な音楽を演奏する機会にその後恵まれるようになり、瞬間瞬間での作曲行為ではあったが僕は自分の中から出てくる音楽を人前で披露する機会を持つ事になる。とはいえそれらは一つとして記録として何らかの媒体に残っているわけでもなく、人前で披露されると同時に消えてゆくものでもあったのだが。

時に、人様の作品に音楽を添えるという形のご依頼を頂戴したりもするが、そういう時は作曲というよりかは、空間をデザインするというと随分と高尚な感が否めないけれどもそういった気持ちだけは持って取り組むようにしている。気持ちだけなら誰しも持ち放題!
この10年で音楽への取り組み方が変わってきたなと感じる。
これからの10年でもきっと変わるだろう。
コロナ禍を経て、というのがいささか不本意な変化ではあろうけれども。
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妻「あ、こりゃ違うね」

人生で初めてバッファを意識したのはこの時なのだが(ブログも長い事続けると彼方に失われた記憶もこうして記録が残るから良い)、思えばこのオクターブファズの前段にバッファを挟む事による音色変化(というかこの場合はバッファを挟む事できちんとペダルが本領を発揮してくれたという、音色変化というよりはそれとは別の特殊なケースではあるのだけれど)以降も、楽器本体に施された「出力倍!ノイズも倍!ローがしっかり出る!」改造による超高出力の信号レベルをエフェクターに流し込むにあたって、信号を適正なレベルに下げるために今や必須アイテムのパッシヴボリュームを使うようになってからBOSSのバッファ、というかTU-2のバッファはずっと僕の足元の最前段であり続けた。
「何はともあれ信号の入口はTU-2」という状態が続いていたのである。

そしてそして、BOSSが本気を出して開発、まさかの技シリーズで発表されたTU-3Wは気にはなっていたものの、現状TU-2のバッファに不満があるわけじゃなし、ご縁があったら出会うだろうしその時に弾いてみて良ければでいいんじゃないのくらいの気持ちでいたのだが。

先日行きつけの中古ペダル屋のSNSでの発信を見ると店内の陳列棚が映された画像、チューナーコーナーにTU-3Wらしきブツが見えるではないか。これは是非チェックせねばならんと店頭にて比較を申し出た次第。
幸いな事にTU-2も店頭試奏用にあったのでTU-3Wと比較検討する事が可能であった。

2021_05_08_001
第一印象からして、違う。
何が違うって高域の出方が違う。薄皮一枚剥がれたような、「鮮度が良くなった」と言いたくなっちゃうような、そんな明瞭さが得られた。
あと、音がより前に出るようになったような。
事前に読んでいたインターネットのレビューだと「低域がより削がれる」的な感想を目にしたけれど、僕はそれは感じなかった。高域がハッキリクッキリした事で低域が目減りしたように感じられたのかもしれない。
で、結果的に購入して持ち帰った。
一度違いを実感すると、もうTU-2のバッファでは満足出来なくなってしまうだろうという予感、いや実感があったからだ。
特に最近は明確なパンチが音に欲しい時期なので今こそこういうより上から下までハッキリクッキリするバッファは有難い。
これからずっと、僕の足元の最前段はTU-3Wだろう。
有難う、TU-2。塗装を剥いだり散々な扱いをしたけれど、今暫くは機材棚の中で休んでくれ。
手放したりはしない。

あ、バッファとしての感想ばかり書いてしまったけれど普通にチューナーとしてもレベルアップしていたぜTU-3W。LEDはより高輝度に(そして個人的な好みではより格好良い配色に)、そしてチューニングの精度はより高精度に。
バッファとしてもチューナーとしても非常に良い感じ(舟橋は主にバッファ目的だけど)。

この大きな筐体には俺達の夢が詰まっている。Wren and Cuff THE CAPRIDについて。

どうして多くの愛好家はファズという音色に浪漫を感じるのか?
どうして演奏家は己の心情を込める際にオーバードライブやディストーションではなくファズを選ぶのか?
扱いにくく、豪胆なようで繊細なあの音色に心を奪われて何年にもなるが、いつの間にか僕もファズには浪漫を感じ、思いの丈をステージ上でぶち撒ける際には足下のファズのスイッチを踏み込むようになった。

よくわからずに買い漁っていた頃もあったし、あれが良いと聞けばあれをこれが素晴らしいと聞けばこれを買ったりと買い求めた事もあるし、兎に角興味をそそられるものはその衝動に任せて買い漁ったりもした。
未だに手元に残っているもの、いつの間にか拙宅にはなくなっているもの等、過去に手にしたもの全てを数えた事はないけれども弾いたベースギター本体の数よりかは多いはずだ。
それでも勿論、もっと知識があり経験がある愛好家=専門家も世の中には多くいて「ビッグマフはこの頃のが」とか「ファズフェイスは」とか「トーンベンダーは」とかそういう発言の前にはただただひれ伏す事しか出来ないが、手当たり次第に買ってはスタジオに持ち込んでを繰り返した結果『ライトユーザー』の道程を少しばかり歩いたんじゃないだろうかという気はしている。ファズの歴史にその名を残す名器や名品達に手を出してこなかったのは僕がお金がないのは勿論、やっぱりコレクターではなく道具は適度に乱雑にガンガン使いたい演奏家であるからである。
折角高いお金を払って歴史も浪漫も積もったブツを手に入れたなら、ステージの上でぶっ壊すには惜しいではないか。古いファズが本物なら今現在出回っているファズも本物だ。
大枚はたいて古いビンテージ物を、とは恐らく今後もならないけれども福沢諭吉数人分でエレクトリック・ベースギターにはうってつけのファズが手に入るなら多分僕は節操がない事が信条なだけに、そのブツもフランクに手を出してしまうだろうと思う。
ビンテージ物にはいかないぞ、と書いたばかりだがそれでもやっぱり神格化されたファズには興味があって、ここ最近のビッグマフブームから僕がラムズヘッドに関心を向けるのは当然の流れであった。

少し前にペダルの高い完成度に感嘆したWren and Cuffが作った「良いラムズヘッドを再現した」ペダルが、行きつけの中古ペダル屋に入荷したのを知ったのは機能美を極めたビッグマフを購入した頃。「あー、これ買ってなかったら試したのにな」と思いつつたまたま時間があった日にペダル屋に寄ったところ、すぐに売れると思っていたWren and Cuffのラムズヘッドが商品棚に並んでいるのを目にしてしまう。
試しに弾いてみたのが運の尽き、その具合の良さに購入してしまったのであった。決して安い買い物ではなかったが、店員氏による僕の浪漫を理解した対応(「舟橋さん、これ基盤も完全再現してるらしいですよ」「やっぱりデケェ筐体は良いですね。浪漫が詰まってるんでしょうね」)にもグッと背中を押して頂いた。その折は本当に有難うございます。

2021_05_02_001
というわけでWren and Cuff THE CAPRIDである。
今は小さい筐体のもあるようだけど、僕はファズの場合、浪漫(今日の日記は何度この言葉を使ったか。そのまま思い入れ、と言い換えてもいいかもしれない)は筐体の大きさに比例すると思っているのでこのサイズので大正解。
というか、このルックス込みで最高じゃあないか。

これ、ビッグマフのラムズヘッドをWren and Cuffが本気出して現代的に作り上げたペダルで、何が凄いって中を開けてみると基盤もそっくりに作ってある。今や本当に必要なのかこれはと言いたくなるようなオン/オフスイッチも付いている。あ、本家のラムズヘッドはツマミの位置がぐっちゃぐちゃで各コントロールをフルにすると位置がバッラバラなんだそうだけど、これはその辺は使いやすくしてある。親切だねWren and Cuff。

出音はベースでも扱いやすい、ローが削げない、思ったよりもハイゲインでないファズである。ビッグマフというイメージよりミドルが出ているので扱いやすい。
単体でも勿論格好良い音がして素晴らしいのだけど、これはビッグマフと同じく前段にオーバードライブを繋いでオンにするとこれまた素晴らしい。
僕は足元の歪みって弱い歪みと真ん中くらいの歪みと一番歪んでるものの3種類を弱中強と使い分けがしたい人で、ここ最近は「EQD LifePedalのブーストのオン/オフ」とか「Sovtek Deluxe Big Muff Piのミドルのオン/オフ」等を用いて一台のペダルで中と強を兼ねてスイッチで切り替えていたのだけど、CAPRIDを導入してからXotic Bass BB preampで弱めの歪み、CAPRIDで中くらい、両方オンで強と使い分けている。Bass BB preampをかけた後でCAPRIDをかけると、芯はオーバードライブで前に出てきて、滲んだニュアンスや毛羽立った部分がそのまま足される感じでこれまた大変格好が良い。世の中のギタリストがビッグマフの前に何かしら繋ぐはずだよ。

大変満足度の高いファズペダルである。
これにてここ最近のファズ熱は一旦落ち着いた。
良いペダルに出会えて僕ァ幸せだなァ!

自己紹介

フナハシタカヒロ

Author:フナハシタカヒロ
愛知県在住、ベースギター奏者です。

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