未知との遭遇。

書く事ばかりが溜まっていく日々だ。有難い事この上なし。

鶴舞K.D.ハポンというライブハウスがある。名古屋は鶴舞の高架下にあるライブハウスで、僕がライブハウスという場所を意識した頃(それはつまりライブハウスに出るようになった頃、と同義である)から独特の存在感で名古屋のバンドマン達に愛されていた。K.D.ハポン、通称ハポンには「他では観られないような」面白いバンドが沢山出ているイメージがあったし独特の温度感みたいなものがあった。こういう言い方は何故か無意味に嫌いなのだけれども僕は勝手に「シーン」みたいなものも感じていたりした。
過去に何度か、ハポンに出演した事がある。
会場入りするだけでちょっとワクワクするような、やっぱり素敵な場所だった。でも今思えば過去のどの出演もイベントに誘って頂いてその会場がハポンであった、わけでやっぱり何かそこは自分の普段演奏を繰り広げている場所とは違ったような、憧れを伴った場所であったわけである。
先頃、一通のメールが届いた。舟橋は驚いた、大いに驚いた。鶴舞K.D.ハポンのモモジさんからであり、それは紛れもなく演奏のお誘いだったからだ。モモジさんにはそりゃあ出演した際や、はたまた友人のバンドを観に行った際等は「こんにちは」とか「お世話になりますorました」とか、そういう当たり前の挨拶を交わした事はあるけれど、まさか存在を認知して頂いているとは思いもよらず、そして同時にオファーも頂いている事に大変嬉しく思ったのであった。なんだか、新しい事が始まるような気さえしたものである。
モモジさん本当に有難うございます。
何度かメールのやりとりを繰り返して、犬栓耳畜生で出演する事になった。メンバーも乗り気である。
しかし今回、犬栓耳畜生には条件があった。「爆音は出さない」。

平日のK.Dハポンには音量制限がある。隣接する飲食店のお客さんから苦情が来た事があるそうで、ドラムやベースを全力で打ち鳴らす事は不可なのだ。低音の放つエネルギーって侮れず、壁や地面をどうしても伝わってしまうからね。
最初、犬栓耳畜生での演奏を提案したところモモジさんは興味を持って下さったようで動画まで観て下さったのだけれども、同時に爆音で繰り広げられる演奏にこれはまずい、と思われたはずである。当然「これだとちょっと平日は」となりました。そりゃあ当然よね。
そこで犬栓耳畜生メンバーに事情を話し確認を取った。
「爆音は出せない、ドラムセットやベースアンプの仕様が最悪出来ない事も起こり得るが、どうか」
回答は予想通り「ではそれを踏まえた上で健全にクリエイティビティを発揮出来る方法を模索しよう」だった。
挑戦というのはこういう瞬間にこそ踏み出すもので、それを成し遂げる事で平時では得られない内的な報酬がある事は明らかだった。恐らく、過程は違えどもメンバー全員それぞれこの「小音量での創意工夫」という挑戦課題に興味をそそられたのだと思う。
今回のライブの指揮を執るのは森野メンバー。前代未聞の前提条件の中で、森野君の挑戦が始まった。

森野君が今回提案したのは「衣服」。
システムとしては全ノイジシャンの味方、コンタクトマイクを搭載したミシンを中央に据えてそれをJC-120ギターアンプで出力、ベースと鍵盤、コンタクトマイクとディレイ搭載の裁断鋏をミキサーにまとめて自宅練習用の小口径のギターアンプにて出力する、というものであった。あと炭酸BOSSがミニカホンを使用した。
演奏内容としては「大島優子似操るミシンにあわせた演奏」「ミシンとの合奏」等、前代未聞のもの。しかも前日のスタジオでは今までにない程構築と破壊、専ら破壊が起きた。率直に言えば全員が「嗚呼、こりゃ明日どうなるかわからねえな」と思った。演奏時間は30分なのだが予定されていたセットリストをざっと通してみると一時間以上かかった。森野君は「ううう」と泣いた。他のメンバーは笑顔だった。こうなってくると俄然、このバンドは面白い。
さあ、あとはやるだけだ、という感じである。イベント名は「未知との遭遇」。この公演名に、我々が今まで行ってきた演奏の中で今回の内容程、相応しいものがあるだろうか?

演奏について個人的な反省になってしまうけれども、未知との遭遇過ぎて少しとりとめがないというか、状況把握と演奏内容にラグを残すというか、インプットとアウトプットの連携がうまく取れなかったな、というのがある。あ、自分の演奏ね。もっとスムーズにいけば良いのだろうと思うのだけど、思うに僕はきっと考え過ぎたか考えなさ過ぎたのだろう。
しかし今回はかつてなく「音はどうしたら音楽になるのか」を考えるきっかけになった。音は果たして二つ並べば音楽になるのか、それとも誰かの意思が必要なのだろうか?どこからどこが音楽で、音はどうなったら音楽になるのか?誰かの呼吸音がそのままの内容で音楽になるには?繊細さとダイナミズムの関係は?
今後も思索の旅に出たいと思う。

終演後はラーメン屋でビールとラーメン。
台湾ラーメンにバターを落としたものがあんなに旨いなんて。こりゃたまげたネ。翌日のニンニク臭さなんてなんのその、だよ。
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自己紹介

舟橋孝裕

Author:舟橋孝裕
愛知県在住、ベースギター奏者です。
・JONNY
・パイプカツトマミヰズ
・犬栓耳畜生
・白線の内側
 やサポートでベースを弾きます。

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